旨みたっぷりの出し汁がしみこんだ、アツアツのお麸料理が恋しい季節になってきました。このおいしさが江戸時代から現代の家庭まで続いているなんて!お麸と共に歩んだ東根市の歴史風景を見に、街へ出かけてみませんか?

歴史の面影残る東根

 江戸時代から受け継がれている文四郎のお麸。郷土の食文化として、地域に親しまれていますが、高速道路の整備が整い、その味を求めて県外からもさらに多くの方にお越しいただくようになりました。東根市は、市内を流れる白水川を境にして、南側は工業地帯や商業タウンなど近代化が進んでおり、反対に北側では歴史の面影を間近に見ることができます。文四郎麸に訪れていただいたならお麸が歩んできた時代と街を合わせて感じてほしくて、今日はオススメスポットをご紹介いたします。

城下町を散策

東根市のシンボルと言えば「大ケヤキ」です。樹齢はなんと1500年と言われ、国の特別天然記念物にも指定されています。幹の太さや、生い茂る葉、どっしりとした存在感はまさに日本一と言えるでしょう。大ケヤキがあるのは東根小学校で、実はその昔「東根城」があった場所でした。近くには堤堀であった「龍興寺沼」が親水公園として整備され、お散歩をしながらその風景を楽しむことができます。さらに周辺を移動すると、民家が密集し、細く入り組んだ道が続き、お寺や神社が多いことに気が付くでしょう。これもまた城下町ならではの特徴です。

8月に開催される「風まつり」では無形文化財に指定されている「太々神楽」が披露される若宮八幡宮(写真左)と、東の杜すぐ近く、東根城主里見家の菩提寺となっている養源寺(写真右)。

東の杜前の親水広場。ここを拠点に散策へも。

東根城跡地にある東根小学校の塀(写真右)。近くにはその昔堀だった龍興寺沼が親水公園として整備されている(写真左上)。養源寺には子ケヤキがある(写真左下)

新たな観光の拠点「東の杜」

そして東根市の観光の拠点にしてほしいのが「東の杜」です。酒蔵として使用されていた建物を資料館として公開されており、2019年4月には歴史ある建物の良さを活かしリニューアルオープンしました。東根城跡地から発掘された文化資料から、地域のお祭りや暮らしの歴史を知る貴重な資料が展示されているほか、コンサートや講演会が行われるホール、調理や会議、教室、展示会など幅広く活用できる交流館も整備されました。また、教育実践家として知られる、東根市出身の国分一太郎の文献や作品、その生徒たちの作品が展示されている伝承館も見ごたえがあります。国分一太郎が書いた『いなかのうまいもの』には、東根のお麸も紹介されており、そのユニークな表現を館内の雰囲気の中で読んでいただければと思います。そして蔵を活かしてつくられた杜のCAFÉでは、食事とスイーツがいただけます。どのメニューにもお麸が添えられているのですが、味わってほしいのがお麸のフレンチトーストと、タピオカ風にアレンジされた生麸ドリンクです。現代も変わらず愛されるお麸の魅力が伝わるメニューになっております。展示物や中庭の木々は季節によって変化するので、いつ訪れても楽しめます。

東の杜入口。観光の拠点として注目されているほか、地域の方々のコミュニティの拠点としても活用されている

歴史資料館

四季折々に楽しめるお庭

ミニコンサートや講演会が行われるホール

蔵づくりの杜のカフェ(右下)。カフェメニューでは生麸ドリンクや、お麸フレンチトーストが食べられる。様々なメニューにもお麸が添えられている(写真はさくらんぼアイス)

東の杜周辺には、大ケヤキの子ケヤキ、孫ケヤキも。そして山手へドライブすれば、果樹園が広がり、さらには地域の水を守る大木沢沼が。今後親水区域として整備が進められていく予定です。

ゆっくり、深く味わって

東の杜周辺には、古い蔵座敷から郷土料理でもてなしてくれる「梅ヶ枝清水」や、受け継がれた漬物を伝える「漬物と地酒 壽屋寿香蔵」も。紹介しきれない見所がまだまだあり、文四郎麸でもおしゃべりしながらご案内できればと思います。道路が整備されることで観光はずっと気軽なものになりますが、東根市にはお麸のように深く味わってほしいモノ、コトがいっぱいです。お麸料理をお召し上がりいただきながら、ゆっくりとご堪能ください。