家庭の台所に常備されていたお麸。
山形、東根も実りの季節を迎えました。たんと収穫された野菜たちが台所に運ばれ、料理される時を今か今かと待っているようです。秋に収穫される物として、大根や人参、かぼちゃなどの越冬野菜は、長く保存が利くので冬の間も大切に保管しながら調理されます。そうそう、焼麸も保存食だってこと、皆さんは知っていましたか?昔は風通しの良い縁側に、20cm幅くらいの丸い竹籠がつるされていて、そこに車麸がキレイに差し込まれ常備されていたものです。当時お麸はとても貴重な食料。その竹籠は各家庭にあって、すっと抜いては料理に使い、少なくなる頃にお麸売りがやってくるという仕組みになっていました。「もうすぐなくなりそう、そろそろ来るかな」という具合でね。お麸売りとお客様のおしゃべり・・・交流もたくさんあったようですよ。
全国各地に伝わるお麸の食べ方。
お麸と一言で言っても、六田のような車麩から、板麸、豆麸、全国各地に様々な種類があって、材料となるグルテンとお水の配合もそれぞれ。調理方法も、食べ方もいろいろです。昔はお姑さんから、お嫁さん、お母さんから子どもへ、代々お麸を使った家庭料理が伝えられてきました。ところが、核家族化が進む中、その伝承もとぎれとぎれ。便利な現代では、テレビの料理番組や丁寧なレシピ本で、お麸の調理法を紹介してくれるのですが、そのほとんどが東京から発信されたもので、手にしたお麸の素材がその情報と一致しているとは限らないのです。うまく調理できなかったお麸は、勘違いによっておいしくないものとされてしまう、それが私は残念でならないのです。六田の麸を通してもう一度、そのおいしさ、便利さを皆様に知っていただけたらと思います
驚きの七変化! お麸で広がる食卓メニュー。
お麸は越冬野菜と違って、上手に保管すればどの季節にも活用できる、頼もしい常備食。豆腐や納豆のように、どの家にも当たり前のようにあった食材の一つでした。六田のお麸の調理の基本は、芯がやわらかくなるまでしっかり水でもどすこと。そして十分に手で水分をしぼり、包丁で切ることから始まります。煮る、揚げる、蒸す、その行程と味付けによって、食感や雰囲気そのものがまるで違うメニューに大変身!
お麸を「煮る」と言えば、日本料理の伝統的な食べ方。じゃがいもや人参、こんにゃくと一緒に煮て味付け。お麸そのものの味、質が分かる調理法だと思います。出来たてよりも、冷めた方がお麸に味が染みこんでおいしく、次の日に食べる煮物は私にとって一番のご馳走です。つるっとした舌触りの中にもサクッとした歯触り、ふんわり華やぐグルテンの香りが後を引きます。
「揚げる」とお麸は、食感も形も定まったものになります。下味に醤油などの調味料を使って、片栗粉を付けて揚げれば唐揚げのような豪快なおかずに。牛乳で味付けし、卵を付けて揚げたなら、懐かしく香るおやつに。さっくりとした食感を楽しめる料理になります。
「蒸す」行程はお店で人気のお総菜、ふ豆乳コロッケで行われていることはなかなか知られていません。お麸を蒸すと、ぎゅっと締まって、旨味も増すような気がしています。とってもヘルシーで食べやすく、子どもからお年寄りまで、多くの方に喜んでいただいているんですよ。
まずは子どもが食べて「おいしい」と言ってくれるような料理を作ってみましょう。簡単に味噌汁でもいいですね。秋なら茸類と一緒に味わい深いスープに仕上がるはずです。お麩を常備してもらい、それぞれの調理のポイントを活かしながら、家族で囲む食卓を一層盛り上げてもらえたらいいですね。
母の味、そして料理人の技で、これからも。
お麸は、誰もが懐かしく愛おしい母の味でした。しかし世の中が忙しく、現在の常備食と言えば、冷凍食品に、レトルト食品。思い通りの味付けで、手間がかからず、手頃な値段。しかしそういったものを食べて育った子ども達にとって、母の味とは何でしょうか。今一度食について考えるための食材として、お麸に興味をもってもらいたいと願うのです。文四郎麸には、お麸の販売に加えて、ふ懐石を召し上がっていただく料理処『清居』があります。ガラス越しに見える野草園は間もなく秋の装いに変化。遠く見える月山、葉山も見事です。これからもお麸のすばらしさを多くの方に感じていただけるよう、料理やお店の風情、おもてなしの心で表現し、伝えつづけて参ります。
麸料理三つの基本
麸の料理には、下記の三つが基本となります。まずはその基本の三行程をご紹介致します。1、もどす。
芯がやわらかくなるまで 水、又はぬるま湯でもどす。(目安は10〜15分間)
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2、しぼる。
手で水分を押ししぼる。
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3、切る。
包丁で切る。(手でちぎって入れるのはやめましょう。)
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これさえしっかりできれば、うんまい麸料理が必ずできますよ!
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