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芭蕉が出会った、六田の景色を後世へ。 みんなで食べたい、お麸料理。 東根名物、麸たっぷりいも煮。 お麸と見つめる、日本の食卓 湧きだす水の物語

湧きだす水の物語。

ミーンミンミーン…蝉のうた声にまどわされ、暑さにうんざりしたなら、六田を訪れてみてはいかがでしょうか。街並みを歩いていると、あちらこちらから、さらさらと流れる水の音が聞こえてきますよ。ちらっ、と水路に目をやれば、群れる魚たち。澄みきった水の中を誇らしげに泳いでいる姿が見えるはず。ここは山脈を源とする白水川と野川、乱川という大きな3本の川が流れ、日本でも有数の大きな扇状地を形成しています。そして扇状地が生み出す良質の伏流水が、大正時代の頃まではあちこちから湧きだしていました。六田は宿場町として栄え、その水は幾年も旅人の喉を潤してきました。秋田佐竹藩の参勤交代で訪れたお殿様にも大変気に入られ「佐竹水」と呼ばれたほどです。

私がまだ幼かった頃、六田にある田んぼの真ん中に爐匹鵑蛙絖瓩噺討个譴訝咾あって、「どんこ水には龍がすんでいる。子供は危ないから近づいてはだめ」と、よく言い聞かされたものです。危ないと言われれば余計に見てみたくなるのが子供のさが。おそるおそる覗いてみれば、池の川底からこんこんと湧き出す水。その量がとても多く、渦を作りだし、正に龍がとぐろを巻いて眠っているかのようでした。子供ながらにその神秘的な美しさにはっとし、心を奪われたのを覚えています。雨が降らず田畑が枯れ果ててしまいそうな時には雨乞いを、雨がやまず田畑や住まいが流されてしまいそうな時には雨を鎮める儀式を。龍神様を崇め、田畑を潤す水として、大切にされていたのです。

どんこ水、見てみたい?龍神様があった場所は、田んぼの区画整理が行われてなくなってしまいましたが、東根市西部の大富地区には、湧水が水源になって流れる清流、小見川があります。きれいな水でしか生きられないイバラトミヨも観察できます。地区を流れる水の豊かさを感じてもらえたらうれしいですね。

文四郎麸、味の決め手は水にあり。

東根は扇状地という地形から、果樹や葉タバコ、麦などが育てられてきました。享和年間(1801〜1803年)に上方からやってきた職人は、六田に麸の製造に欠かせない「水」と「麦」があることを知り、その技術を伝えていったと言われています。地層をゆっくりゆっくり流れ、濾過された水は、春夏秋冬を通じて13〜14℃。不純物が少なく、無味無臭。そしてやわらかな、優しい飲み心地。この特徴こそが、良質の麸に欠かせないのです。職人の技によって真っ直ぐなグルテンが生み出され、不純物の少なさと職人の技術で均等にふっくらと焼きあげる。そうして創られたお麸は、料理する人の味にじんわり満たされる。文四郎麸のおいしさの秘訣はここにありました。

ただいま、お店に来て下さるお客様に、もっとお麸の事を知ってほしくて、小さなお麸焼機を製作中です。秋冬の期間限定で前もってご予約(4名様以上)いただければ、どなた様にもお麸焼きを体験いただけるよう進めています。お土産に持ち帰っていただいたり、旅の思い出に特別なお麸を味わっていただければと思います。

変わらぬ想い、続く味。

長年お麸を焼き続ける中で、いつも原点にあるのは、旅人へのもてなしの気持ちです。宿場町として栄えた六田。ここを訪れた多くの旅人が、六田のお麸でもてなされ、疲れを癒したことでしょう。現代は車で来られる方がほとんどですから、お店には料理処やお土産販売処の他に、休み処を設けました。まずは味わってほしくて、おばあちゃんが朝早くに煮付けた煮物も準備、ご試食いただけるようにしています。夏はスタミナをつけるために、お麸とナス、椎茸で作った生地を甘辛く味付けた爐娜靴發匹瓩呂いがでしょう?様々なお麸の食べ方の伝授もしています。また休み処限定、お麸パフェもオススメです。生麸と焼き麸、豆乳アイスの絶妙な食感が格別です。まずはのんびり、六田の歴史と今、文四郎麸の味を旅してみてください。