特集

芭蕉が出会った、六田の景色を後世へ。 みんなで食べたい、お麸料理。 東根名物、麸たっぷりいも煮。 お麸と見つめる、日本の食卓 湧きだす水の物語
江戸時代より伝わる六田の麸

六田の麸について

先祖が伝えた真っ直ぐな味、文四郎麸。

どうもお腹がすくなと思っていたら、台所からだしの効いた醤油の香り。耳をすませば、くつくつと煮える音・・・。あぁ今日の晩ご飯は、煮物かな?それもお麸が入った煮物かな。思い浮かべるうちに白いご飯もほしくなってきました。

ここ東根六田地区には羽州街道が通り、紅花や葉煙草などを陸路で運ぶ交通の要所となって栄えました。周辺には宿が建ち並び、500年の歴史ある六田宿として賑わっていたのです。地域は白水川や乱川、野川が創り出した大きな扇状地。湧水も豊富でおいしいと評判、秋田佐竹藩の参勤交代で訪れたお殿様も大変気に入られ「佐竹水」と呼ばれていました。小麦の栽培地としても適しており、享和年間(1801〜1803年)上方よりやってきた職人が麸の製造に欠かせない「水」と「小麦」がある場所として技術を伝えていったと言われています。しかし当時小麦は大変貴重なもの。また麸も全て手作り・手焼き。旅人をもてなす食として、宿屋で細々と作られていたのではないかと思われます。一般市民は口にすることができない高価な食べ物、今で言う・・・何でしょうね?この後も農家の副業として製造されていくのですが、戦後以降までも高級食材として崇められていくのです。

文四郎麸が麸の製造を手がけるようになったのは、江戸時代、文久年間の頃(1860年〜)。長い木の棒に巻き付け焼き上げるという独特の製法で、車麸が作られました。車麸と聞くと簡単に想像がつくかもしれません。もちろんお麸があるのは六田だけではないのですから。海や街道によって南へ北へ、沖縄から北海道までじっくりじっくり全国各地に伝わりました。新潟や石川の車麸は有名ですが、六田の麸とは全く別もの。一番違うのは、麸の原料となるグルテンと小麦粉の配合です。各地のお麸はグルテン10に小麦を10〜15混ぜるに対して、六田は0・5程。ほんのちょっとしか小麦を混ぜない。これは麸造りを受け継いできたご先祖さまの心意気なのではないか、と私は思うのです。混ぜる小麦粉が少なければ麸の原価は上がってしまう、均等に焼き上げるにもより技術が必要になる。だけど焼き上がりはふっくらきめ細かく、軽やか。煮くずれしにくく、つるりとした舌触り。しこっとした歯触りも人気。これはグルテンが多いからこその食感なのです。

麸は長い間囲炉裏で炭火焼きされていましたが、大正時代になると六田地域にも電気が通り、機械化が進むようになりました。それでもたくさん作ってたくさん売ればいいというものではありません。職人が丁寧に丹精込めて焼き上げ、宿場町で旅人を気遣ったように、食べてくれる人々に喜んでもらいたいと願って作り伝えられているのです。東根六田の人々にとってお麸は、何よりもの自慢。お茶飲みや、寄り合いなんかで集まれば「こんな料理したら、いいあんばいだったのよ」とか、いつでもお麸の話題で盛り上がります。麸がこの地にやってきて200年以上にもなるのにね。お麸は誇りであり、日常でもあるのです。

ほら、母ちゃん自慢の煮物が出来上がりましたよ。具はお麸と牛肉と糸こんにゃく。お麸の香ばしさが行きとどき、お麸は牛肉とだしの旨みをたっぷりふくめている。シンプルで変わらないこのおいしさが私は大好きです。

麸のできるまで

[1] 厳選された強力小麦粉に六田のおいしい水を加え、よく合わせます。その後、よく練り合わせた小麦粉に水をさらに加えて洗います。例えていうならよく小麦粉を洗濯するということです。約2時間ほどおいて置き、中に残ったものが小麦蛋白質いわゆるグルテンです。
[2]  金(木)の棒に1回目は小麦粉に水を加えただけの麸のしんを巻きます。このしんを巻くのはその後の2回目に巻くグルテンを巻きやすくするためと、焼いた後に麸が棒から抜けやすくするためです。
[3] (1)でできたグルテンを麸のしんに巻き上げます。ここは熟練した職人たちの仕事になります。
[4]  焼き上がった麸を釜からあげ、金棒を抜き取り、1晩乾燥させてできあがりです。
文四郎麸の麸工房は工場稼働時に見学ができます(見学をご希望の方はあらかじめご確認ください)。ご来場いただいた折りにはもっと詳しくご説明させて頂きます。

麸料理の基本

おいしい麸料理を作るためには、基本となる3工程がかかせません。 まずは麸料理の三つの基本をご紹介致します。これさえしっかりできれば、うんまい麸料理が必ずできますよ!

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